身体介護のための専門的なスキルが介護職には必要です。まず、人体の仕組みに関する基本的な知識を身につけた上で、高齢者や障害者など身体が不自由な介護サービス利用者の身体的特徴について学んでおかなければなりません。こうした基礎的な知識がないと、利用者の脆弱な身体を扱う際に誤った介助を行って利用者の身体を傷めるおそれがあるからです。
それから、利用者をベッドから車椅子に移動させる時など、介護職員は体力を要する場面もありますが、無理な力の使い方をしてしまうと、介護職員自身に負担がかかり、怪我をしてしまう可能性があります。実際に、身体介護が原因で腰や背中を傷める介護職員は後を絶ちません。したがって、身体介護における効率的な力の使い方を習得することも重要だと言えるでしょう。具体的には、体幹を意識し脇を締めて作業することがポイントになります。こうしたテクニックを身につけるためには、ボディメカニクスをはじめとした知識とトレーニングが必要になるので、まずは体重の軽い利用者を対象として訓練を重ねてから、徐々に重い利用者の介助にもトライすることが効果的と言えるでしょう。
それから、身体介護のスキルだけでなく、利用者と上手くコミュニケーションを取れる能力も介護職員には必要不可欠です。利用者が求めるサービスとは、効率的な身体介護だけでなく、心の交流も重要な要素だからです。多くの利用者は孤独で寂しい思いをしており、介護職員とのコミュニケーションを楽しみにしています。したがって、介護職員は常に笑顔で利用者に声かけを行い、心身を気遣う姿勢を大切にしなければなりません。